台北の新市街地、台北101や高級百貨店が建ち並ぶ信義エリアを歩いていると、突如として「奇妙な建物」が目に飛び込んできます。信義の新光三越から東へ少し歩くと見えてくる、まるで建物自体が「ジョジョ立ち」をしているかのように激しくねじれた異形。
これが、世界的に注目を集める超高級集合住宅「陶朱隠園(Tao Zhu Yin Yuan)」です。
実際に周囲を歩いてみても、入り口がどこか分からないほど厳重に守られており、その存在感は都会の景色の中で異彩を放っています。今回は、この「選ばれた人しか住めない」謎多きマンションを紹介します。
なぜ「ねじれて」いるのか?DNAを模した建築の秘密
陶朱隠園の最大の特徴は、2階から21階にかけて各階が4.5度ずつ時計回りに回転し、全体で90度もねじれている外観にあります。

この設計は、フランス人建築家ヴァンサン・カレボー氏によるもので、DNAの二重螺旋構造をモチーフにしています。単に奇抜なだけでなく、この回転によって各戸に約167平方メートル(約50坪)もの広大なテラスが生まれ、高層マンションでありながら「自分だけの庭」を持つことを可能にしました。
地震にも台風にも負けない!2500年耐える「最強の構造」
台湾は日本と同じく地震の多い地域ですが、陶朱隠園は「2500年に1度の地震」が来ても構造が壊れないことを目標に設計されています。
- NASA級の免震技術
地下には米国NASAの施設やApple本社でも使われている「EPS免震パッド」が48セット設置されており、震度9クラスの地震にも耐えうる強度を誇ります。 - スカイツリーと同じ鋼材
柱などの主要部分には、東京スカイツリーにも採用された日本製鋼材「KBSA630」などが使われています。 - 室内には柱がない
「フィーレンディール・トラス」という特殊な構造を採用しているため、約300坪ある室内には1本も柱がありません。住人は自由自在に間取りをカスタマイズできるのです。

2万3千本の木々が息づく「垂直の森」
この建物は、都市の温暖化に抗う「垂直森林」としての顔も持っています。

敷地内とテラスを合わせて23,000本以上の木々や植物が植えられており、年間約130トンの二酸化炭素を吸収します 。1階には2,000坪の生態庭園があり、10メートルの滝まで設置されています。この滝と森林のおかげで、夏の周囲温度は市街地より8〜9度も低くなるそうです。
驚愕の設備:車で玄関まで!?救急車も入る巨大エレベーター
一般人には想像もつかないような特殊設備も、陶朱隠園の魅力(?)のひとつです。
- カー・エレベーター
自分の愛車を住居の入り口まで運べる巨大エレベーターが完備されています。救急車もそのまま入れるサイズ(4.5トン対応)で、緊急時には住人の玄関先まで救急隊が直行できます。 - 「安全屋」の設置
各住戸内には、災害や襲撃から身を守るための「セーフ・ルーム(安全屋)」が設置されています。独立した水・空気・通信システムを備えた、まさに生命の金庫です。

ついに動いた!1戸「11.1億元(約52億円)」の衝撃
長らく「入居者ゼロ」と噂されてきた陶朱隠園ですが、2025年11月、ついに歴史的な取引が成立しました。
- 成約価格
17階の住戸が11億1,000万台湾ドル(約52億1,700万円)で売却。 - 支払い方法
現金(ローンなし)。 - 住人は誰?
購入者は80歳の外国籍の男性。
ちなみに、1坪あたりの価格は約364万台湾ドル(約1,710万円)で、台湾の不動産史上最高値を更新。変態クラスの金持ちが世界にはいるようです。
管理費だけで月19万元(約89万円)!住むための高いハードル
このマンションは、お金があるだけでは買えません。開発側による厳格な審査があり、社会的な地位や個人イメージ、社会貢献度までもがチェックされる「選ばれた人」のための住居なのです。
無事に審査を通り、52億円を払って入居できたとしても、次なるハードルは維持費です。
- 月額管理費
1戸あたり約19万台湾ドル(約89万3,000円)。 - 年間の維持費
年間では約228万台湾ドル(約1,071万円)。
この管理費には、24時間の警備はもちろん、樹齢500年の羅漢松などをケアする専属の「樹木医」の費用なども含まれています。
まとめ
台北の景色の中で「ジョジョ立ち」をしている不思議なマンション、陶朱隠園。その奇妙な見た目の裏側には、人類の建築技術の粋を集めた安全性と、地球環境への強い想いが込められていました。
もし台北を訪れる機会があれば、信義エリアでこの「世界一ねじれた豪邸」を探してみてください。中には入れませんが、その圧倒的なオーラを感じるだけでも、台北観光の忘れられない思い出になるはずです。
※日本円換算は2026年2月時点の想定レート(1TWD=4.7円)で計算しています。
