礼文島桃岩荘愛とロマンの8時間コース

2019年の夏、日本最北の島・北海道礼文島にあるユースホステル「桃岩荘」が企画するトレッキング「愛とロマンの8時間コース」に参加しました。
このコースは、島の最北端・スコトン岬を出発し、南へ進んで「ユースホステル桃岩荘」を目指す全行程8時間のルートです。
今回はこのトレッキングコースで見る事ができた景色を紹介します。

「桃岩荘」以外の選択肢はなかった

礼文島の観光シーズンは春から秋にかけてで、なかでも夏は最も多くの観光客が訪れる時期です。
島自体はそれほど大きくなく、宿泊施設の数も限られています。私が訪れた2019年の夏はまさにハイシーズンで、島中の宿がすべて満室。どこに問い合わせても予約が取れませんでした。

そんな中、最後の望みをかけて電話をしたのが「ユースホステル桃岩荘」。
飛行機とフェリーの手配をすでに済ませていた私にとって、ここが本当に最後の頼みの綱でした。結果は幸運にも「空きあり」。宿泊が決まりました。

礼文島のユースホステル桃岩荘
ユースホステル桃岩荘

その後調べてみると、桃岩荘は「日本三大バカユースホステル」の一つとして知られる、かなり奇怪な宿だと判明。実際の宿泊体験についてはここでは触れませんが、まるで異世界のような場所でした。

もともと礼文島の自然をどう体験するか考えていた私にとって、桃岩荘が主催する島を縦断するトレッキングプランは、まさに理想的な選択肢でした。

始まりは島の最北端、スコトン岬~澄海岬

朝5時に起床し宿で用意された朝食を食べ、6時前に桃岩荘を参加者16名車に乗せられ出発。
朝7時頃、最北端のスコトン岬から私達16名の桃岩民のトレッキングがスタートしました。

礼文島スコトン岬
スコトン岬での集合写真

トレッキングコースの途中には、携帯の電波が届かない場所が多くあります。道に迷ってもスマートフォンの地図に頼ることはできません。
出発前にグループの中からリーダーが1人選ばれ、そのリーダーが桃岩荘のスタッフからコースの説明を受け、詳細な地図を手渡されます。
私たちはそのリーダーの指示に従いながら、最終目的地である桃岩荘を目指して歩きました。  

礼文島ゴロタ岬に続く道
ゴロタ岬への道

スコトン岬を出発してまずはゴロタ岬を目指します。
ゴロタ岬駐車場から舗装の無いトレッキングコースに入ります。
一面に広がる緑の地肌、地形の唐突がとても綺麗に見えます。

礼文島ゴロタ岬山頂
礼文島ゴロタ山山頂

ゴロタ山山頂に到着。
登ってきたルートを振り返ってみると、碧い海と緑の山のコントラストがくっきりしていて、とても美しかったです。

礼文島の山々には木がほとんど生えていません。寒さと強風で樹々が育たないのだそうだ。
大昔は木が生えていて火事で焼失し、それ以降樹々が育ってないという説もあるとか。
どちらにしろ、礼文島は樹々も育ちにくい寒冷地で、森林限界なのだろう。

礼文島澄海岬
礼文島澄海岬

礼文島北西にある景勝地澄海岬に到着。
地名の澄海のとおり海の色がコバルトブルーの透き通った濃い青、南国の海とはまた違った海のきれいさでした。

トレッキング中盤、澄海岬~宇遠内

澄海岬からさらに南下していきます。

礼文島「愛とロマンの8時間コース」
道だけが生活感を感じる

礼文島の西海岸は、東海岸とは異なり断崖絶壁が続く地形が特徴です。
写真は、その西海岸の崖の上に広がる平坦なエリアを歩いている場面。
見渡す限り一面の緑が広がり、人工的なものといえば人々の足で踏み固められたトレッキングの道だけ。
人の気配がほとんどなく、まさに礼文島本来の自然そのものの中を歩いているようでした。

 

礼文島「愛とロマンの8時間コース」
駆け降りた足跡

アナマ川が流れる谷へ向かって、この急な斜面を下ります。
思わず『これ、本当に公式ルートなの?』と疑いたくなるほどの傾斜でした。
小走りで一気に降りる人もいれば、慎重に一歩ずつ進む人もいて、それぞれのペースで下っていきます。
最終的には、全員が無事に崖のふもとまでたどり着くことができました。

礼文島「愛とロマンの8時間コース」
道なき道の岩礁地帯

崖の上から一気に下り、ついに海岸までたどり着きました。
ここからは、海の波打ち際と崖の間に広がる岩場を縫うように進んでいくルートになります。
もしこれが正式なトレッキングコースだと知らなければ、誰も足を踏み入れないような道です。

 

礼文島宇遠内集落
宇遠内の集落が見えてくる

岩場の地帯を抜け、宇遠内(うえんない)付近に差し掛かるころには、険しかった地形も次第に穏やかになってきます。
この周辺は高山植物が多く見られるエリアで、4月から5月にかけては、本州のものより背丈の低いエゾノハクサンイチゲ(蝦夷の白山一花)が、西海岸の斜面一面に群生するそうです。
ただ、長いあいだ人気のない獣道を歩いてきた私たちにとって、久しぶりに宇遠内の集落が見えた瞬間はとても印象的で、珍しい花を思い出す余地もありませんでした。

礼文島宇遠内の集落
宇遠内の集落、右奥の谷を進んでいきます

宇遠内の集落で少し休憩。
この集落へは、礼文島の東側から車で入ることはできず、徒歩か船でしか行くことができません。
私が訪れたときには、数世帯の人々が暮らしているようでした。

8時間コース終盤、宇遠内~桃岩荘

海から再び山へ入りいくらか丘を乗り越え、いよいよ桃岩荘が近づく南部へと向かいます。  

奥に見える利尻富士

夕方になり、太陽の光が少しずつ色を変え始めるころ、山の合間から利尻富士の姿が見えてきました。
その山影が見えたということは、私たちが礼文島の南側、そして東へと確実に進んできた証でもあります。

礼文島桃岩トンネル
日本標準時間と桃岩時間の時差が生ずる桃岩トンネル

礼文島の東側、香深(かふか)付近で山道を下り、そこからは車道を通って桃岩荘を目指します。
桃岩トンネルを抜けた先が、ゴールとなる桃岩荘です。
長かった「愛とロマンの8時間コース」もいよいよ終盤。参加者全員が最後の力を振り絞り、夕暮れの桃岩荘へと歩みを進めました。

桃岩荘、愛とロマンのフィナーレ

ふらつきながらも、夕方18時30分ごろにようやく桃岩荘へ到着しました。
8時間を超える長い縦走の末にたどり着いたこの場所は、単なる宿というよりも「我が家」といった感覚でした。

愛とロマンの8時間コース記念撮影
最後に記念撮影

桃岩荘は、一般的な宿泊施設とは少し雰囲気が異なり、旅人同士が自然と交流し、連帯感を持つ独自の文化があります。
到着すると、館内の活気と他の旅人たちの明るい雰囲気に迎え入れられました。

愛とロマンの8時間コース
休憩時間はタイマー止まってます

こちらが実際に歩いたコース。スマホの電波は入りませんが、GPSは捕まえれるので記録できました。

桃岩荘とお別れ、お別れの儀式と港見送り

島を離れる仲間を見送る“お見送りの儀式”は、桃岩荘の文化を象徴する大切な習わしです。
宿を発つ人がいると、宿泊者全員で集まり、声をそろえて見送ります。

桃岩荘見送り
宿を去る人たちを見送り

さらに、希望者やスタッフは港まで同行し、フェリーが出航する際にもお見送りを続けます。
甲板に立つ旅人に向かって、岸壁から歌と踊りを届ける。そんな温かな光景が、桃岩荘らしい別れの時間をつくり出しています。

礼文島香深港見送り
礼文島を去る時

こうして、“愛とロマンの8時間コース”の旅は幕を閉じました。
険しい道のりの中で見た絶景や、出会った人々との時間、そして桃岩荘ならではの温かい文化は、今でも鮮明に記憶に残っています。
礼文島を歩いたあの一日が、単なるトレッキングではなく、島の自然と人のつながりを感じる特別な体験だったことを、改めて実感しています。

桃岩荘の場所はコチラ

北海道礼文郡礼文町香深村

投稿者 iryota_gram

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