新型コロナウイルスの影響で高雄でのマラソン大会が急遽中止となり、時間を持て余し市内を散策することに。そんな中、立ち寄ったのが左営区に位置する集合住宅群「果貿社区」でした。
高雄市内に突如現れる「小香港」
このエリアは、その独特の建築から「高雄の小さな香港(高雄小香港)」と呼ばれ、近年注目を集めるフォトスポットとなっています。一見すると近代的な高層マンション群ですが、その裏側には台湾の戦後史と都市開発の変遷が刻まれています。

異国情緒溢れる景観—「高雄小香港」の建築的魅力

果貿社区の特徴は、その幾何学的な構造にあります。このコミュニティは全体で13棟の高層建築で構成されていますが、特に注目なのは第8棟と第9棟の2棟です。

これら2棟がそれぞれ半円弧形をしており、互いに向かい合う形で配置されることで、一つの円を形成しています。その密集した感じは、まさに香港の密集したビル群を想起させ、「小香港」の通称も頷けます。

円の中央は公園になっており、そこから高層ビル群を見上げた時の光景は、訪れた際の記憶に強く残りました。
歴史的変遷:台湾南部最大の「眷村」から高層国民住宅へ
この集合住宅の歴史は、戦後台湾の住宅政策と深く関わっています。
果貿社区のルーツは、海軍軍人・軍属のために作られた眷村(けんそん)の一つ、「果貿三村」に遡ります。1965年に完成した初期の村は、当時台湾南部最大の眷村として知られていました。

しかし、建物の老朽化と都市化の波に伴い、わずか20年後の1981年に再建が決定。1985年に国民住宅として生まれ変わったのが、現在の13棟の高層マンション群です。元の軍眷世帯に加え、一般の低中所得層にも開かれた近代的な住居となり、この円弧状のデザインは、台湾の都市再編を象徴する存在となりました。
コミュニティと眷村グルメ
果貿社区は単なる撮影スポットではなく、現在も約2200世帯の人々が暮らす生活空間です。
円の中心にある公園をはじめ、コミュニティ内では人々の日常が営まれています。特に、果貿市場は朝が最も賑わっており、眷村グルメを楽しむことができます 。

「小香港」を写真に収めるだけでなく、眷村グルメを体験してみるのもおすすめ。
アクセス:MRT巨蛋駅からの道のり
果貿社区の最寄駅は、高雄MRTの紅線「巨蛋駅」。

