華僑と印僑の狭間でクアラルンプール

クアラルンプールは、地理的に「太平洋」と「インド洋」という二つの巨大な海洋圏の狭間に位置しています。かつて東の南シナ海を越えてやってきた華僑と、西のベンガル湾を越えて到来した印僑。この二つの潮流が交差する場所こそが、現在のクアラルンプールの独自の魅力を形作っています。

今回は、チャイナタウン(ペタリンストリート・鬼仔巷)とインド人街(ブリックフィールズ)を、その歴史とともに紹介します。

漢字と熱気に包まれる「チャイナタウン」

私が滞在の拠点に選んだのは、チャイナタウンの一角でした。地図で見た通り、周辺は商店や飲食店がひしめき合い、滞在には非常に便利な場所です。

ペタリンストリートの出口すぐにあるSEASON POINT HOTELに泊まりました。
アゴダで見る限りキレイで安かったので選びましたが、安さには理由がありました。。。

錫(すず)とタピオカが作った街「ペタリンストリート」

メインストリートの「ペタリンストリート」は、歴史的には「茨廠街(チー・チョン・カイ:広東語でデンプン工場の街)」と呼ばれています。
19世紀後半、クアラルンプール開拓の父と呼ばれる葉亜来(Yap Ah Loy)がこの地にタピオカ粉工場を設立したことがその名の由来です。かつて錫鉱山で働くために中国南部から渡ってきた人々が、この街の基盤を築きました。

ペタリンストリートのアーケード
ペタリンストリートのアーケード

2003年には大規模な改装が行われ、「グリーン・ドラゴン」と呼ばれる緑色の屋根と立派な中華門が完成。現在は歩行者天国となり、伝統的な福建麺(ホッケンミー)の名店から観光客向けの露店までが混在する、活気あるエリアとなっています。

クアラルンプールペタリンストリート
中華系の装飾がたくさん

隠れ家スポット「鬼仔巷(Kwai Chai Hong)」で1960年代にタイムリープ

ペタリンストリートのすぐ近くに、リノベされたオシャレな路地「鬼仔巷(Kwai Chai Hong)」があります。

鬼仔巷(Kwai Chai Hong)
フォトジェニック全開!

ここは2019年に再生されたアートスポットで、1960年代のチャイナタウンの日常生活を描いた美しい壁画が並んでいます。「鬼仔(クワイチャイ)」という不思議な名前の由来には諸説ありますが、かつてこの路地で遊んでいた「やんちゃな子供たち」を指す愛称だったという説や、あるいは当時の影の歴史(アヘン窟や秘密結社)に関わる説もあります。

鬼仔巷(Kwai Chai Hong)
カラフルで綺麗なリノベ

ランタンが揺れ、どこかノスタルジックな東南アジアテイストが混じるこの空間は、まさに歴史と現代が交差するフォトジェニックな場所でした。

ペタリンストリートの場所はコチラ

五感を揺さぶる彩りと響き「インド人街・ブリックフィールズ」

後日、夜に訪れたのがクアラルンプールの「リトル・インディア」として知られるブリックフィールズです。

レンガと鉄道が運んだインドの風

「ブリックフィールズ」という名は、1880年代のレンガ製造業に由来します。当時、大火と洪水に見舞われたクアラルンプールの街をレンガ造りで再建するため、この地の粘土を使って大量のレンガが焼かれました。

インド人街ブリックフィールズ
ブリックフィールズの夜の様子

同時に、イギリス植民地時代に鉄道(現在のKTM)の建設や運営のために、南インドやセイロン(現スリランカ)から多くの人々がこの地に呼び寄せられました。彼らがこの地に定着し、自分たちの信仰や文化を持ち込んだことが、現在の色鮮やかな街並みのルーツとなっています。

夜の街を彩るネオンと大音量のボリウッド

夜のブリックフィールズを歩くと、そこはもう完全にインドの世界です。 バトゥ洞窟を思わせるキラキラとしたカラフルなネオンが街を彩り、スピーカーからは大音量のインド音楽が流れ出しています。ヒンドゥー教の祠や、象の噴水など、五感のすべてが刺激されます。

ブリックフィールズにあったヒンドゥー教の祠
ヒンドゥー教の祠

このエリアは、仏教寺院、ヒンドゥー寺院、教会、中国寺院が驚くほどの密度で共存していることから「聖なる地(Divine Location)」とも呼ばれています。

ヒンドゥー教寺院、バトゥ洞窟!272段の虹色階段と巨大黄金像の記事はコチラ

ブリックフィールズの場所はコチラ

太平洋とインド洋の狭間で感じる「ほっこり」する共生

かつて太平洋を越えてきた華僑、インド洋を越えてきた印僑、そして現地のマレー系の人々。それぞれが異なる宗教や習慣を持ちながらも、同じ街で当たり前のように暮らしている姿は、単一民族国家で育った私にはとても新鮮で、不思議なほど心が温まる光景でした。

コロナ明けすぐの様子
渡航解禁2023年1月撮影

マレーシア・クアラルンプール。この街は、二つの海の潮流が混ざり合い、新しい文化が生まれ続ける都市です。

リール動画で鬼仔巷の様子

鬼仔巷に響き渡る美声をどうぞ!

投稿者 iryota_gram

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