ウズベキスタンの古都ヒヴァ。その中心部に位置する城壁都市「イチャン・カラ」は、街全体が博物館のような場所です。今回は、この街の魂とも言える「ジュマモスク」と、そこにある「ジュマミナレット」、そして街の象徴「イスラームホジャミナレット」の魅力をご紹介します。
ジュマモスク:213本の柱が創り出す「神秘の森」
イチャン・カラの中央に位置するジュマモスク(金曜モスク)に一歩足を踏み入れると、そこには外の喧騒とは無縁の静寂が広がっています。

このモスク最大の特徴は、中央アジアでは珍しい「多柱式(ハイポスタイル)」の構造です。天井を支えるのは、212本から218本もの木製の柱。私が訪れた際も、数百本の柱が並ぶ圧倒的な空間に言葉を失いました。天井に設けられた開口部から差し込む光が、木彫りの柱に複雑な陰影を落とし、まるで「魔法の森」に迷い込んだかのような幻想的な美しさです。

これらの柱は単なる飾りではないのです。
- 歴史のアーカイブ
柱の多くは10世紀から16世紀に製作されたもので、異なる時代の彫刻様式が混在しています。 - 耐震の知恵
柱の土台にはラクダの毛を詰めたクッションが挟まれており、地表の湿気や地震の振動から建物を守る工夫が施されています。
ジュマミナレット登頂:暗闇の先に待つ最高のパノラマ
モスク内を散策していると、ひっそりと佇む小さな入口を見つけました。これが「ジュマミナレット」への扉です。

多くの観光客は後述するイスラームホジャミナレットに向かいますが、私はあえてこちらのミナレットに登ることにしました。

- 登頂のポイント
階段は81段(あるいは82段)と、それほど多くはありません。しかし、内部は非常に暗く狭いため、慎重に進む必要があります。 - 頂上からの景色
登り切った先に待っていたのは、言葉にできないほど美しい眺望でした。

四方の地平線まで見渡せる視界。眼下には、未完成の巨大なミナレット「カルタ・ミノル」や「イスラームホジャミナレット」がはっきりと見え、四角い城壁の中に整然と並ぶマドラサ(神学校)の配置を手に取るように観察できます。

一面に広がる土色の街並みと、吸い込まれるような真っ青な空。その光景を見た瞬間、「青・白・緑」からなるウズベキスタンの国旗が、いかにこの地の色彩を忠実に表現しているかを再認識させられました。

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イスラームホジャミナレット:空に映えるヒヴァの象徴
ジュマモスクを出て南へ向かうと、ヒヴァで最も高い56.6メートルの「イスラームホジャミナレット」が姿を現します。

1910年に完成したこのミナレットは、当時の宰相イスラーム・ホジャによって建てられました。南側から見上げるそのシルエットは抜群に美しく、土色の建物と鮮やかな青いタイルのコントラストが、ウズベキスタンの太陽に照らされて輝いていました。

こちらは175段の階段があり、より高い場所からのパノラマを楽しむことができます。ジュマミナレットとはまた違う、街全体を俯瞰するダイナミックな視点を楽しむならこちらも外せません。
チケットとアクセス
- 共通パスの注意点
イチャン・カラの共通パスでジュマモスクには入場できますが、ミナレットへの登頂には別途料金(約100,000スム)が必要です。 - 登頂の可否
ジュマミナレットは構造上の傾きが指摘されており、時期によっては立ち入りが制限される場合があります。現地の管理人に確認することをおすすめします。
まとめ
ヒヴァ・イチャンカラの心臓部に立つジュマモスクとミナレット。「柱の森」が湛える静謐な空気と、ミナレットの頂上から仰ぐ砂漠の絶景は、旅人の心に深く刻まれること間違いありません。

ウズベキスタンの伝統的な色彩が溶け合うこの場所で、あなただけの物語を見つけてみてください。

