ウラジオストクの市街地から少し離れたシュコット半島の最南端に、ロシア極東で最も古い灯台の一つ「トカレフスキー灯台」があります。地元民から「地の果て(End of the World)」と呼ばれているこの場所は、大陸の終わりと太平洋の始まりを実感できるスポットです。
ウラジオストク駅からバスで30分。
旅のスタートは、山の上にある「アジムットホテル・ウラジオストク」から坂を下り、ウラジオストク駅へ。駅前のロータリーから、目的地へ向かう59番のバスに乗り込みます。

バスは市街地を抜け、住宅街を走ること約30分弱で終点に到着しました。バス停周辺は、ポツンと集合住宅や建物が点在する、少し殺風景で静かなエリアです 。

ここから灯台までは、さらに1本道を徒歩で20分ほど歩きます。

道中、視界が開けると対岸に巨大な「ルースキー島橋」が見え、係留された貨物船やヨットが並ぶ港町らしい風景が広がります。

その一方で、何もない開けた場所に「アリエ・パルサ」という3棟の真新しい高層マンションが建っているのが非常に印象的でした。

ウラジオストクはロシアの中でも貴重な不凍港。レジャーボートがたくさんある入江の風景はまるで温かいリゾート地の様。
100年の歴史を刻む「トカレフスキー灯台」とは
ようやく半島の先っぽに到着すると、海に向かって細長く伸びる砂州が見えてきます。

この灯台の歴史は古く、最初の標識が立てられたのは1876年。現在の石造りの白い塔は1910年に建設が始まり、1913年に点灯しました。
- 名称の由来
ロシアの優秀な水路測量技師ミハイル・トカレフスキーにちなんで名付けられました。 - 技術の粋
内部の光学機器は当時世界最高峰だったフランスのBarbier Cº Fenestre社製で、今も現役で海を照らしています。 - 管理
現在もロシア海軍太平洋艦隊の管理下にあり、船舶の安全を守る重要な役割を果たしています。
潮が満ちると消える道?「砂州(コシュカ)」の神秘
灯台へ行くには、全長約800メートルの「トカレフskaya・コシュカ(猫の砂州)」と呼ばれる細い道を歩きます 。この砂州は2つのセクションに分かれており、まずは巨大な送電鉄塔がある場所まで進みます。

そこから先の灯台へ続く道は、潮の満ち引きによって表情を変えます。私が訪れた日はあいにくの天気で視界も悪かったのですが、ちょうど潮が満ちていて道が海中に沈んでいました。

周囲の観光客は、くるぶしほどの深さになった海中の道を灯台まで歩いていました。まるで海の上を歩いているようなその光景は、天候の悪さも相まって非常に危険そうでした。私は濡れるのを避けて途中で引き返しましたが、「何もない、世界の終わり」のような雰囲気は十分に堪能できました。
訪れる前に知っておきたいポイント
- 周辺施設
灯台の近くにはお土産屋などの観光施設は一切ありません。冬場は非常に風が強く冷え込むため、暖かい格好で行くことをおすすめします。 - 野生動物
冬から早春にかけては、運が良ければ周辺の流氷の間にゴマフアザラシが姿を現すこともあるそうです。 - 日本との縁
この海域は、かつて日本からの引き揚げ船が通った場所でもあり、日本人にとっても歴史的に感慨深い場所と言えます。
まとめ
トカレフスキー灯台は、派手なアトラクションがある場所ではありません。しかし、潮風に吹かれながら大陸の端に立ち、100年以上続く白い灯台を眺める時間は、他では味わえない贅沢なひとときです。

基本情報
- アクセス
ウラジオストク駅からバス(59, 60, 81番など)で「Mayak(マヤーク)」バス停下車、徒歩20分 - 入場料
無料 - 注意点
満潮時は足元が濡れるため、灯台まで行きたい方はサンダルやタオルの持参を推奨します。
