ウルグベクマドラサ

ヒヴァ、ウルゲンチ、ブハラと巡ってきたウズベキスタン横断の旅。その4都市目で、ついに憧れだったサマルカンドへ到着。
この街を象徴するのは、レギスタン広場に並ぶ三つのマドラサ(イスラムの神学校)。青いタイルがきらめく壮麗な建築群は、何度写真で見ても胸が高鳴ります。

今回はその中でも広場の左側に建つ最古のマドラサ「ウルグ・ベク・マドラサ」について紹介します!

ウルグ・ベクの知の情熱が詰まったマドラサ

正直、4都市目ともなると「またマドラサか…」と新鮮味が薄れていたのも事実です。ですが、この場所は他とは全く違いました。圧倒的な存在感と、想像以上の「見学の自由度が高い事」に驚かされることになります。

サマルカンドレギスタン広場
向かって左がウルグ・ベグ・マドラサ

ウルグ・ベクの知の情熱が詰まったマドラサ

ウルグ・ベク・マドラサは、ティムール帝国を築いたアミール・ティムールの孫、ミルゾ・ウルグ・ベクの指導によって1417年に建設が始まり、1420〜1421年に完成しました。

ウルグ・ベク・マドラサ
星の様にも見える入口のタイル装飾

ウルグ・ベクは天文学や数学の分野で名を残した学者としても知られ、彼の治世下でサマルカンドは学問の中心地として栄えました。

宗教+科学を教えた画期的な学びの場

このマドラサで教えられていたのは神学や法学だけではありません。
数学・論理学・そして天文学といった「世俗科学」を重視した、当時としては非常に進歩的な教育機関でした。彼がサマルカンドに建てた天文台と並び、まさに「知の中心」と呼ぶにふさわしい場所です。

星を散りばめた建築デザイン

その知的な焦点は、建築デザインにも明確に表れています。

巨大な入口には青・水色・テラコッタのタイルがびっしりと貼り詰められ、特に主入口には「星の模様」が大きく描かれています。
これは天文学を愛したウルグ・ベクの象徴であり、彼の教育方針を表す最も重要な意匠だと言われています。

ウルグ・ベクの天文学
マドラサの最奥にウルグ・ベクの功績の展示

さらに館内には、天文学者としてのウルグ・ベクに関連した展示もあり、他のマドラサでは味わえない独自の世界観が広がっていました。

驚きの“自由見学”ができるマドラサ

最も驚いたのは、見学の自由度の高さです。
多くのマドラサでは学生の居室(フジュラ)や二階部分は立入禁止になっていますが、ここでは二階へ上がることができました。

ウルグ・ベク・マドラサの内部
二階から中庭を眺める

二階のフジュラから中庭を見下ろすと、まるで学校の渡り廊下から校庭を眺めているような感覚に。
当時の学生たちが学び、生活していた情景が自然と頭に浮かび、どこか懐かしい気持ちになります。

歴史的建造物でありながら、生活の痕跡がリアルに想像できるのが、このマドラサならではの魅力でした。

スリル満点の「ミナレット登頂」というレア体験

そしてこのマドラサ最大のハイライトが、右側のミナレット(塔)に登れること。

右側のミナレットに登れる

入口にいる係員に声をかけると、内部へ案内してもらえました。

ミナレットの内部の螺旋階段
ミナレットの内部の螺旋階段

中は小窓しかない狭い螺旋階段が延々と続き、ひたすら上へ。
頂上は人一人が立てる程度の小さなスペースですが、そこから眺めるレギスタン広場の景色は圧巻のひと言。
広場全体を上から眺められる体験はここだけです。

ミナレット頂部から見るレギスタン広場
ミナレット頂部から見るレギスタン広場

ただし「公式ではない」グレーなアクセス

ここで重要なのが、この登頂が公式ではないという点です。
チケットにも記載はなく、現場のスタッフとのやり取り(場合により現金)で入れる、いわばグレーゾーンのアクセス。

その可否は担当者や天候などによって毎日変わるため、常に登れるわけではないようです。

地震被害とシューホフによる安定化工事

このミナレット登頂が非公式扱いなのには理由があります。

ウルグ・ベク・マドラサは過去の地震で大きな被害を受け、特にミナレットは深刻な損傷を負いました。過去の絵画からも、その大きな被害の様子がうかがえます。

ウルグ・ベク・マドラサ復旧の様子
倒れかけたミナレットを復旧する様子

20世紀初頭にも修復が行われ、1927年にはソ連の著名な技術者ウラジーミル・シューホフが復旧工事を担当しました。

ブハラで見た「シューホフの塔」の設計者でもある彼が、サマルカンドの保全にも携わっていたとは驚きでした。

シューホフによる補強が行われたとはいえ、構造自体は非常に繊細で、観光客の登頂は安全性に影響を与えかねません。
そのため、現在のような「非公式登頂」は将来的に完全封鎖される可能性が高いとされています。

三つのマドラサの中で、最も「体験型」の一棟

ウルグ・ベク・マドラサは、天文学者ウルグ・ベクの知性が息づく歴史、青タイルが輝く建築美、二階からの貴重な視点、そしてミナレット登頂というスリルある体験が詰まった、レギスタン広場で最も「体験型」のマドラサだと感じました。

サマルカンドを訪れ、このミナレットを登れる機会に恵まれた場合は、あくまでも自己責任で登るのを決めてください。

ウルグ・ベク・マドラサの場所はコチラ

投稿者 iryota_gram

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