2020年2月、新型コロナウイルスの影響で高雄マラソンが中止になり、急遽、街を巡ることになった際、私は高雄駅からすぐ北に位置する後驛商圏(後火車站商圈)に立ち寄りました。
高雄の「五分埔」、商店街活性化
この後驛商圏は、台湾南部最大のアパレル卸売の中心地として知られ、「高雄五分埔」という別名を持つ伝統的な商店街です。

その商店街の空に現れたのが、色彩豊かな傘で空が覆い尽くされた「雨傘大道」(アンブレラスカイ)です。このアートは、伝統的な卸売街に現代的な魅力を注入する高雄市の戦略のもと、街のランドマークとして機能していました。
2020年2月に見た頭上の「虹」
私が訪れた2020年2月当時、安寧街の通りは、2,000本を超えるカラフルな傘によって完全に覆われていました。

商店街の中央を歩くと、頭上には鮮やかな「傘の海」が広がり、路駐している車のガラスにもそのカラフルな傘が反射し、空間全体がまるで万華鏡のように面白く感じられました。

当時のアンブレラスカイは、特にデザインに力が入れられていた時期です。傘には可愛らしいイラストが施されたものもあり、また、特定の交差点には大学のファッションデザイン学科とのコラボレーションによる大型傘ウォールが設置され、夜間には太陽光LED電飾が点灯する演出も施されていました。

伝統的なアパレル卸売の街に、リノベーションされたオシャレなお店もちらほら見受けられ、活気を取り戻そうとする商圏の意志と活性化の進展を感じることができました。アンブレラスカイは、観光客投票で「高雄必遊景點」(必訪スポット)に選ばれるほどで、国内外からの観光客誘致に成功していました。
安全上の懸念と全数撤去へ(2025年6月)
長期間にわたる風、日差し、雨の影響を受け、高所に設置された多数の傘は著しく老朽化し、見るに堪えないほどの状態になってしまいました。

特に深刻なのは、傘の布地が破れ、内部の金属製の骨組みが露出した状態です。これらの骨組みが落下し、通行人が怪我をする可能性が発生しました。現地の報道では、この危険な状態の傘は「空中血滴子」(空中のフライングギロチン)と形容され、その危険性が強調されました。
この事態を受け、後驛商圏の理事長は、市民・観光客の安全を確保するため、2025年6月末までに全数撤去を完了する予定であることを公表しました 。私が2020年2月に見た光景は、成功を収めながらも、メンテナンスの問題から惜しまれつつも撤去される、幻の絶景となってしまったのです。
