ベトナムの首都ハノイを訪れる旅行者なら、誰もが足を向ける旧市街地(Old Quarter)。フランス統治時代の建築物と伝統的なベトナム文化が融合したこのエリアで、地元の人々に愛され続けている隠れた名物料理があります。それが「マーガリン焼肉」です。
このマーガリン焼肉は、僕がラーメン以外で食べた海外グルメでTOP3に入る衝撃の旨さでした!

ハノイ旧市街地は、11世紀頃から商業の中心地として栄えてきた歴史ある地区です。「36通り」とも呼ばれるこのエリアは、それぞれの通りが特定の商品や職業に特化していたことからその名がついています。シルク通り、銀細工通り、薬草通りなど、今でもその名残を感じることができます。
マーガリン焼肉とは
ハノイ旧市街地の夜を歩くと、どこからともなく漂ってくる香ばしい香り。その正体が「マーガリン焼肉」です。
アルミホイルを敷いた簡易鉄板の上で、牛肉やヤギ肉、時にはシーフードをたっぷりのマーガリンでジュウジュウ焼く屋台グルメ。屋外のビール屋台(ビアホイ)と相性抜群で、地元民はもちろん観光客にも人気です。
ターヒェン通りは、ハノイ旧市街地の名物「ビアホイ(生ビール)」ストリートとして欧米人にも人気の夜の賑わいスポットに 。そこに「手軽で香り高い」つまみとして、マーガリンを使った焼肉がぴったり合ったのです。

バターではなくマーガリンを使う理由
バターに比べて安価で保存がしやすく、高温でも焦げにくいのがマーガリンの特長。また、加熱時に立ちのぼる甘く香ばしい香りが、食欲をそそります。焼きあがった肉は、外はカリッと中はジューシーに。
マーガリン焼肉のルーツと広がり
マーガリン焼肉の歴史は、1950年代後期にさかのぼります。ベトナム戦争の影響で食材が不足していた時代、旧市街地の屋台経営者たちは限られた材料で美味しい料理を作る必要がありました。
当時、高価だったバターの代わりに、比較的安価で入手しやすかったマーガリンを使って肉を焼くアイデアが生まれました。最初は単なる代用品でしたが、マーガリンの独特な風味が豚肉や牛肉と絶妙にマッチし、やがて一つの料理ジャンルとして確立されていったのです。
1960年代には、旧市街地のハンマ通り(Hàng Mã)とハンチエウ通り(Hang Chiếu)を中心に、マーガリン焼肉専門の屋台が次々と現れました。地元の労働者や学生たちの間で人気を博し、「安くて美味しい庶民の味」として定着していきました。

実はこの料理、フォーやブンチャーのような昔ながらのベトナム料理とは異なり、比較的新しい食文化です。2000年以降ターヒエン通りの屋台で提供され始め、SNSや旅行ブログを通じて人気が拡大しました。
夜になると観光客とローカルがひしめくターヒエンの路地。そこに、プラスチック椅子と低いテーブル、そして湯気を上げる鉄板が並ぶ光景は、いまやハノイの夜を象徴する風景です。
注文&食べ方
人気の食材バリエーション
- 豚肉・牛肉
- ヤギ肉
- シーフード+チキン

食べ方
まずは下準備にアルミホイルを敷いた鉄板にマーガリンを溶かし、油代わりとして使用 。

焼くのはセルフ式が多く、火加減や焼き加減を調整しながら自分のペースで楽しめます。
店員さんが焼き具合を見ながら具材の調整をしてくれる場合もあります 。
つけダレは、塩ライム、チリソース、ヌクチャム(甘酸っぱい魚醤ベース)など。味変を楽しめる。
価格の目安
- 肉1皿:約70,000 VND〜(約350円〜)
- マーガリンは別料金:約10,000~15,000 VND(60~90円)
- ビール(地ビール“バイホイ”):10,000〜30,000 VND(60円〜)
ホーチミンのブイビエン通りには無かった

上の写真は南部の中心都市ホーチミンの繁華街、ブイビエン通りの様子。
この通りにはたくさんのお店や屋台が並んでいましたが、マーガリン焼肉の屋台は無かったように思います。
マーガリン焼肉の人気はまだホーチミンまで来てないようですが、この美味しさが広まるのは時間の問題の様に思えます。
マーガリン焼肉は「ハノイ」を味わえるストリートグルメ
現在でも旧市街地には多くのマーガリン焼肉屋台が軒を連ね、地元の人々の日常に溶け込んでいます。最近では、健康志向の高まりを受けて、植物性マーガリンの品質向上や、オーガニック野菜を使用する店も現れているようです。
伝統料理とは一味違う、ハノイの現代的B級グルメ「マーガリン焼肉」。屋台文化と現地の雰囲気を丸ごと体験できる一品です。
気軽に入れる屋台が多いので、ソロ旅行者でもひとり焼肉全然OKです。ハノイに立ち寄る機会があれば、ぜひおすすめの料理です!
