オールドデリーの雑踏の中心にそびえ立つ、インド最大級のイスラム寺院「ジャーママスジド(Jama Masjid)」。
私はこのモスクの目の前にあるホテルに滞在していたのですが、目の前にあるにもかかわらず、なかなか中に入ることができませんでした。今回は、インド旅行最終日にようやく入れたジャーママスジドの紹介。
なかなか入れない?ジャーママスジドの開門時間と「3つの門」の秘密
ジャーママスジドの門前は何度も通っていたものの、いつも扉が閉ざされており、境内に入れたのはデリー滞在の最終日のことでした。

ジャーママスジドは単なる観光名所ではなく、現在も1日5回の集団礼拝が行われています。そのため、一般観光客の入場時間は厳格に区切られています。
- 一般拝観時間
午前7:00〜12:00 / 午後1:30〜6:30 - 観光客が入場できない時間帯
正午の礼拝時間帯(12:00〜13:30前後)など、信徒が一斉礼拝を行うタイミングは門が閉ざされます。
方角ごとに表情が異なる「3つの門」
ジャーママスジドの敷地には東西南北のうち3方向に巨大な赤砂岩の階段と門が設けられています。
| 門の名称 | 周辺環境と歴史的背景 |
| 北門 | ムガル帝国の宮城「レッド・フォート」方面を向く門。門脇の小展示閣には預言者ムハンマドの聖遺物が保管されています。 |
| 東門(皇帝門) | かつて皇帝シャー・ジャハーンが金曜礼拝に訪れる際に使った専用正門。門前には下町やチョール・バザールが広がります。 |
| 南門 | 名物料理店「カリーム(Karim’s)」などが連なるマティヤ・マハル通りに面した門。非常に人通りが多く混雑します。 |
私がスリに遭いかけた南門周辺は、旧市街屈指の美食街であると同時に極めて密集度の高いエリアです。
階段を登れば別世界!赤砂岩の高台から見渡すデリーの喧騒
北門へと続く急勾配の赤砂岩階段を登り切り、ふと後ろを振り返ると、そこにはリキシャ、車、屋台、無数の人々が入り乱れるオールドデリーのごった返した街並みが、眼下に一望できます。
この眺望には、都市計画上の明確な理由があります。ジャーママスジドは1650年、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンの命により、「ボジラ・パハーリー(Bhojla Pahari)」と呼ばれる天然の岩山の上に起工されました。

地上約10メートルの高さに赤砂岩の巨大な基壇を築き上げたため、門前に立つだけで街全体並びに赤い城を見渡す高低差が生まれるのです。正式名称であるペルシア語の「マスジド・イ・ジャハーン・ヌマー(世界を見渡すモスク)」という名に、深く納得させられます。
2万5千人を包み込む白大理石のドームと静謐な空間
門をくぐって境内(サフンと呼ばれる大中庭)に足を踏み入れると、外の喧騒とは対照的な広大な空間が迎えてくれます。

- 境内中央の「噴水(池)」
中庭中央にある四角い水場は、礼拝前に手・顔・足を清めるための大理石製洗盤池「ハウズ(Hauz)」です。 - 礼拝堂の配置
イスラーム建築の伝統に則り、境内西端の礼拝堂は聖地メッカの方角である西を向いて建っています。東門から境内を見渡すと、ハウズの奥に壮麗でシンメトリーな礼拝堂が真正面に鎮座する構図になります。
屋根には、白大理石に黒大理石の縦縞模様を施した3基の球根型ドームが連なり、中央ドームの高さは約27メートルに達します。最大25,000人もの信徒が一斉に祈りを捧げることができるこの巨大な中庭には、祈る人々、観光客、そして境内を往来する商人など、多様な人々が混在していました。
幻のミナレット登楼体験
礼拝堂の両脇には、高さ約40メートルの赤砂岩と白大理石で組まれた八角形4層のミナレットがたっています。

南側のミナレットには内部に狭い螺旋階段があり、有料で登楼できることで知られています。しかし、私が訪れた際は近くの受付が閉まっていました。ミナレットは天候、混雑状況、安全管理や礼拝の都合によって予告なく閉鎖されることが珍しくありません。登れたらラッキーくらいの気持ちで訪れるのが良いかと。
鳴り響くサイレンと警察の出動劇!オールドデリーの「生きたカオス」
モスクの広大な敷地内を歩いていると突然南門のあたりからけたたましいサイレンの音が境内に響き渡りました。
様子をうかがうと門前には消防車やパトカーが次々と集結し、現場には黄色い規制線が張られていました。やがて、モスクの中から警察官に両脇を抱えられ、連行されていく人物の姿が見えました。
何かの事件だったのか、事故だったのか、周囲を取り巻く野次馬の叫び声、オールドデリー特有のクラクションなどが入り混じり、何が起きているのか全く分からない混沌そのものでした。
このリール動画はその時の様子のもの。
ジャーママスジド訪問前に知っておくべき基本情報
- 入場料
入場無料。 - 南ミナレット登楼料
開いている場合、約100ルピー。 - 服装規定
肩、腕、膝下が出る服装は禁止。露出が多い場合は門前でガウンを借りる必要あり。女性は髪を覆うスカーフの持参をおすすめ。 - 履物の管理
階段を登りきった門前で完全に靴を脱ぐ必要があります。預け所を利用することもできますが、紛失やトラブルを避けるため、エコバッグ等の靴袋を持参して自身で持ち歩くのが最も安全。

まとめ
美しく調和のとれたムガル帝国の壮大な建築美と、一歩外に出れば容赦なく押し寄せる人々の喧騒とハプニング。
ジャーママスジドは、デリーの歴史の重みと下町のエネルギッシュな混沌を同時に体感できるです。礼拝時間帯の制限や服装に気を配りつつ、ぜひこの「世界を見渡すモスク」の高台へ足を運んでみては。
(※記事内の写真は2024年1月に私が実際に撮影したものを利用しています。)
