2026年8月13日、台北の繁華街である信義(シンイー)エリアで、台湾全土で順次実施された大規模な防空訓練「2026城鎮韌性(防空)演習」を体験しました。
前日にホテルで聞いた何気ない案内から始まり、当日の様子、そして今年から新導入された「スマホの通信規制」まで、台湾の防空演習について紹介します。
事前の予告:チェックイン時に伝えられた「明日は外に出れません」
台湾に入国した演習の前日8月12日、台北市内のホテルでチェックインを行っていると、フロントのスタッフさんから声をかけられました。
「明日(13日)の14:30から30分間、防空訓練があります。その時間は外に出られなくなりますよ」
具体的にどんな訓練なのかまではその場で詳しく聞き返さなかったものの、「明日、街中でどのように訓練が始まるのだろう?」と興味が湧いてきました。
演習当日の8月13日、日帰りで遠出をするか少し迷いました。しかし、台湾特有の午後からの激しいスコール(夕立)の心配があったことに加え、「人の多い台北の大都会で防空演習が始まるとどうなるのか」を見てみたいと思い、台北市街地にとどまることにしました。
14:30 演習開始!響き渡るサイレンと警察からの注意
見学場所に選んだのは、台北101や大型ショッピングモールが立ち並ぶ、最も賑やかな信義エリアです。信義エリア周辺を散歩しながら14:30を待ちました。
そして14時30分ちょうど、街中に響き渡る不気味な警報サイレンと同時に、スマホの画面に「緊急地震速報」のような警告通知が一斉に鳴り響きました。

交差点の角に立ち、サイレンが鳴り響く様子や道路の車が路肩に止まっていく光景を動画で撮影していたところ、巡回していた警察官の方に声をかけられ、「すぐに建物の中に入りなさい!」と注意を受けてしまいました。
周りを見渡すと、交差点の角にあった店舗のスタッフさんが「中に入っていいよ!」と優しく声をかけてくれ、無事に店内へ避難させてもらうことができました。

店内から外の様子を観察していると、演習の実施を知らなかったと思われる観光客たちが、警察官に大きな笛を鳴らされながら屋内へ入るよう指示されている光景が目に入りました。
訓練開始時と終了時の様子の動画
訓練時の始まりと終わりの外の様子を動画で撮影しました。
音量をOFFにしているとただの景色なので、ご覧になるときは音量をONでご覧ください。
チャプターで始まりと終わりを別けています。
車も人も完全停止!そしてスマホが繋がらない「通信制限」の衝撃
避難した店舗の中から通りを眺めると、先ほどまで行き交っていた乗用車、路線バス、バイク、タクシーなど、すべての車両が路肩に停車し、ハザードランプを付けてました。歩行者の姿も消え、台北の中心部が完全に静まり返っています。
店内での30分間の待機中、特にすることもなく暇だったため、時間を潰そうとスマホを触ったのですが、ネットが全く繋がりません。
これは単なる電波障害ではなく、2026年の防空演習から初めて導入された大規模な「携帯電話データ通信速度低下訓練」によるものでした。

有事や災害時の通信混雑・攻撃を想定し、大手通信キャリアが意図的にデータ通信速度を大幅に制限していたのです。動画サイトやSNSの閲覧はもちろん、一般のWebページすら開かない状態になり、体感としては完全な遮断に近い状態でした。
15:00 演習終了!一勢に動き出す街と素早い警察
じっと静かに終わりを待つこと30分。15時ちょうどになると、再び長いサイレン(解除警報)が街に鳴り響きました。
サイレンが鳴り終わった瞬間、止まっていた車やバスが一斉にエンジンをかけて走り出し、店内に避難していた人々も外へと出ていきます。
つい先ほどまで厳重な警戒にあたっていた警察官や誘導員の方々も、解除と同時に一瞬でどこかへ去っていきました。その手際の良さには本当に驚きました。
知っておきたい「城鎮韌性防空演習」の豆知識とルール
今回体験した演習について公式情報や制度背景をまとめました。台湾へ旅行・滞在される方はぜひ覚えておくと安心です。
制度の変更と「1時間繰り下げ」の理由
台湾では従来「萬安演習」という名称で親しまれていましたが、2025年より防災演習(民安演習)と統合され、「城鎮韌性(防空)演習」へと再編されました。以前は「13:30〜14:00」に実施されるのが定番でしたが、2026年からは株式市場の取引時間との重複を避け、金融や交通への影響を抑えるために「14:30〜15:00」へと1時間繰り下げて実施されています。
交通機関の対応
- 台北MRT・台湾新幹線(高鉄)・台鉄
電車自体は通常通り運行しますが、駅の出入口が「入場のみ可能、出場不可」となり、改札外へ出ることができなくなります。 - 路線バス・タクシー・YouBike
一般道走行中の車両は路肩に停車し、下車して避難します。YouBikeも安全な場所に鍵をかけて避難する必要があります。
指示に従わないと「高額な罰金」も!
防空演習中の交通規制や避難指示を拒否した場合、『民防法』第25条に基づき3万〜15万台湾元の罰金が科される可能性があります。この法律は外国人旅行者にも例外なく適用されるため、警察やスタッフの指示には絶対に従わなければなりません。
実際に体験してみたリアルな感想と課題
今回、台北の真ん中で防空演習を体験してみて感じたのは、社会全体で緊急事態に備える台湾の意識の高さ。日本の緊急地震速報ほどの緊張感がありました。
旅行者の視点で思った防空演習の感想としては
- 「30分間」は意外と長い!
屋外での移動が一切禁止され、さらに今回はスマホのネット通信も遮断されたため、屋内でじっと過ごす30分間は想像以上に長く感じました。 - 通信制限時の連絡手段が必要
万が一有事が起こった場合、ネットが使えない環境下で連絡を取り合う手段を用意しておく必要があるなと感じました。
まとめ:旅行中に遭遇したら慌てず屋内で待機しよう!
台北の街が30分間完全にストップする「城鎮韌性防空演習」。
もし台湾旅行中にこのサイレンを聞いたら、焦らずに近くの警察官やお店のスタッフの誘導に従い、安全な建物内で解除のサイレンを待ちましょう。

あらかじめ演習のスケジュール(毎年夏頃に地域別で実施)をチェックしておき、演習時間帯(14:30〜15:00)はカフェやホテルなど室内でゆっくり過ごす予定を組んでおくのがおすすめです!
(※記事内の写真・動画は2026年8月に私が実際に撮影したものを利用しています。)
