重慶長江ロープウェイ

中国の「山城(山の街)」として知られる重慶。この街の観光で外せないスポットといえば「長江ロープウェイ(長江索道)」です。

超高層ビルがひしめく大都会のど真ん中を、レトロなロープウェイのゴンドラが走っていく様子は、日本ではまず見られない不思議な光景。初めて目にする人には、強烈なインパクトを与える絵になります。

今回は、そんな長江ロープウェイ誕生の歴史的経緯をご紹介!

重慶・渝中区の険しすぎる地形と、かつての交通事情

そもそも、なぜこれほどの大都会にロープウェイが必要だったのか。その秘密は、重慶特有の地形にあります。

重慶の中心地である「渝中(ゆちゅう)区」は、二大河川である「長江」と「嘉陵(かりょう)江」が合流する場所に位置しています。このエリアは、川に挟まれた細長い「山の尾根」のようになっており、いたるところに切り立った崖や急坂が存在する非常に険しい地形です。

古くから水上交通の要所として栄え、険しい地形を克服しながら都市として発展してきましたが、対岸への移動は長年の課題でした。

フェリーとケーブルカーの時代

かつて、渝中区から川を挟んだ嘉陵江の北岸や、長江の南岸へと渡る手段は「渡し舟(フェリー)」が主流でした。しかし、重慶は「霧の都」とも呼ばれるほど霧が多く発生する街。冬場を中心に深い霧が立ち込めると、フェリーは視界不良のため頻繁に欠航になっていました。

冬の重慶の様子
冬の重慶。晴れが少なく曇ってた。

さらに、無事に川を渡れたとしても、川岸(港)から人々が暮らす山頂の市街地へ行くには、急峻な崖を上り下りしなければなりませんでした。この負担を軽減するため、かつての重慶では斜面を走るケーブルカーが建設され、人々はそれを利用していました。

なぜ「ロープウェイ」だったのか?一気に解決した空中回廊

フェリーの欠航問題と、きつい坂の上り下り。この2つの問題を一気に解決したのが「空中ロープウェイ」でした。

重慶の極端なイメージ
AIでつくった重慶の極端なイメージ

山の上の市街地同士を空中をまたいで直接つなげば、急坂を上り下りする必要は一切なくなります。さらに、ロープウェイは風や霧などの悪天候に強く、多少の霧や風であれば問題なく運行を続けられます。天候に左右されやすいフェリーの弱点を補うことができたのです。

経済的・技術的な理由も

橋を架ければよかったのではと思うかもしれませんが、当時長江に巨大な道路橋をかけるには、莫大な建設資金と高度な技術が必要でした。

東水門長江大橋
2014年にできた長江にかかる東水門長江大橋、車と地下鉄が通る

敷地面積が狭くても駅を建設でき、橋を架けるよりもはるかに低コストで早期に建設できるロープウェイは、経済的にも技術的にも合理的な「救世主」だったのです。

こうして、1987年10月24日、中国が独自に設計・製造した長江ロープウェイが正式に開通しました。

時代の変化:日常の「足」から「観光資源」への劇的転身

開通当初、長江ロープウェイは通勤客で超満員となる「空中バス」として大活躍。しかし、時代の移り変わりとともに重慶の交通インフラは劇的な進化を遂げます。

街には次々と巨大な橋が架けられ、地下鉄やモノレールが縦横無尽に走り始めました。これにより、日常の移動手段としてのロープウェイの役目は徐々に終わりを迎えます。

千厮門大橋
2015年にできた嘉陵江にかかる千厮門大橋

かつては嘉陵江側にも同様のロープウェイ(嘉陵江ロープウェイ)がありましたが、こちらは新しい橋の建設にともなって解体されてしまいました。

長江ロープウェイは幸運なことに、そのレトロな佇まいと、空中から重慶を一望できる価値が再評価され、観光資源として復活を遂げたのです。今では重慶を代表するランドマークとなりました。

混雑するゴンドラと窓際ポジション

渝中区の観光の後半に、長江ロープウェイの乗り場を訪れました。

渝中区側にある北駅
渝中区側にある北駅

実際に現地へ行ってみると、乗り場には数多くの観光客が長い列を作って並んでいました。ゴンドラは2台が往復しており、次々と大勢の乗客を乗せています。

長江ロープウェイゴンドラ
ゴンドラ内は通勤ラッシュの様

ゴンドラの中は座席がなく、全員が立って乗車するスタイルです。混雑しているタイミングで乗車した場合、運悪く「窓際のポジション」を確保できなければ、人の頭や背中に遮られて景色がほとんど見えないまま、ただ対岸に到着するだけになってしまう可能性があります。

長江ロープウェイ
南岸の駅から北駅に向かってくるゴンドラ

今回は南岸に行く用事もなかったため、渝中区側からロープウェイが空中を行き交う姿を見るだけにしました。

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ロープウェイに乗れば、朝天門付近の様子や長江と嘉陵江の合流部など、素晴らしい景色が見られるのは確実。しかし個人的には景色より、このロープウェイの歴史的な背景に、とても興味を感じたのです。

長江ロープウェイの営業情報まとめ

現在の長江ロープウェイの基本的な営業情報は以下。

  • 乗車料金(通常窓口・公式ミニプログラム)
    • 片道:30元
    • 往復:50元
    • Trip.comで事前購入も可能。
    • WeChatミニプログラム「重庆索道公司」などからオンラインで実名予約・購入が可能。
  • 運行時間(通常ダイヤ)
    • 夏季(3月1日~11月30日):08:00 – 22:00(休日は 07:30 – 23:00 まで延長)
    • 冬季(12月1日~2月末):08:00 – 21:00(休日は 07:30 – 22:30 まで延長)
    • ※メンテナンスや天候により一時的に運休や時間調整が入る場合があり。
ロープウェイビューポイントの白象居より
ロープウェイビューポイントの白象居より

重慶の歴史と人々の知恵が詰まった長江ロープウェイ。乗るのもよし、下から見上げるのもよし、立体都市を潜り抜ける自分だけのスポットを探してみては。

長江ロープウェイのショート動画はコチラ

白象居からの撮影

(※記事内の写真・動画は2024年12月に私が実際に撮影したものを利用しています。)

渝中区側の乗り場の場所はコチラ

重慶市渝中区新華路151号(地下鉄「小什字」駅から徒歩すぐ)
中国地図アプリAmapではコチラ(※ブラウザで開きません)

投稿者 iryota_gram

大阪府出身の男、サラリーマン。 学生時代から旅を始め、旅歴は約20年。アジアを中心に歩き回っています。 保有資格:二級小型船舶免許、普通二輪免許、二級施工管理技士(建築)

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