イスラエル死海マサダ要塞

マサダ要塞はイスラエルの広大な砂漠地帯、「死海」のすぐ近くにあった難攻不落の空中都市でした。

スリランカのシギリヤロックのように、荒野の中に忽然とそびえ立つ、標高約450メートルの孤高の岩山です。今回は、エルサレムから公共バスに乗ってやってきたマサダ要塞の歴史とアクセス方法を紹介します。

エルサレムからバスで死海へ!意外と簡単なアクセス方法

マサダ要塞へは、エルサレム新市街にある「セントラルバスターミナル(Jerusalem Central Bus Station)」からスタートします。

セントラルバスターミナル(Jerusalem Central Bus Station)
高速鉄道の地下駅の地上にあるエルサレム中央バスターミナル

バスターミナルの3階から、イスラエルのユダヤ系バス(国営バス会社)が運行するエン・ボケック方面行きのバス(486系統や444系統など)に乗車します。

【主要なバスアクセス路線】
□エルサレム発
486系統ネヴェ・ゾハール行(通常1時間に1本程度運行)、444系エイラート行(1日約8往復)
□運賃目安
エルサレム〜マサダ間:片道約42〜 80シュケル

エルサレム発死海行きバス
死海沿岸沿いを走るバスからの車窓

バスはエルサレムを出発すると、死海の海岸線(国道90号線)をひたすら南下していきます。車窓の左手にはどこまでも青い死海、右手にはゴツゴツとした黄土色の岩山が続き、永遠に景色が変わりません。その心地よい単調さに、思わずうとうとと意識が飛んでしまうほど。

迷いようがない!マサダ要塞のバス停

「降りる場所を通り過ぎたらどうしよう」という不安もありましたが、心配は無用でした。バスは死海沿いの大通りからマサダ要塞への専用アプローチ道路へと入り、観光の拠点となる「マサダ東側ビジターセンター」の目の前にある引き込み線内の停留所にしっかりと停車してくれます。これなら初めて訪れる個人旅行者でも迷うことはありません。

マサダ東側ビジターセンター
マサダ東側ビジターセンター

登りはロープウェイ、下りは「蛇の道」がおすすめ!

山頂の要塞跡へアクセスする方法は主に2つあります。

  1. 蛇の道(Snake Path):絶壁を九十九折に登る徒歩ルート
  2. ロープウェイ(Cable Car):約3分で山頂へ到達する空中キャビン
マサダ要塞蛇の道入口
蛇の道の入口

今回は「行きは時間短縮のためにロープウェイ、帰りは蛇の道で歩いて下山する」という、タイパの良いルートを選択しました。

観光客で大賑わいのロープウェイ体験

マサダ要塞ロープウェイ
ロープウェイは大混雑

ロープウェイは片道チケットのみの購入も可能です。窓口で切符を買い乗り場へ向かうと、世界中から集まったたくさんの観光客で賑わっていました。

マサダ要塞ロープウェイ
荒野が広がる

ゴンドラが動き出すと、目の前には遮るもののない大パノラマが広がります。地肌が剥き出しになった黄土色のゴツゴツした岩山と、深く切り込んだ谷。荒涼とした大自然の迫力に圧倒されているうちに、わずか数分で山頂の要塞へと到着しました。

マサダ要塞山頂にあるイスラエル国旗
山頂に靡くイスラエル国旗

山頂に降り立つと、砂漠の乾いた風を受けながら、イスラエルの国旗が高々と靡いていました。

マサダ要塞の成り立ちと、歴史に残る「悲劇の最期」

国旗がはためくこの山頂は、かつてユダヤの歴史においてもっとも悲壮な籠城戦が行われた場所です。

ヘロデ大王が築いた「天空のシェルター」

マサダに本格的な要塞を築いたのは、紀元前37年〜31年にかけて統治したヘロデ大王でした。彼は有事の際の避難所、そして冬の宮殿として、この絶壁の上に城壁や23棟もの巨大食料倉庫、さらにはローマ式の大浴場や巨大な貯水池システムを構築したのです。

第一次ユダヤ戦争と、960人の集団決断

ヘロデ大王の死から数十年のちの西暦66年、ローマ帝国の圧政に対してユダヤ人が蜂起し「第一次ユダヤ戦争」が勃発します。ユダヤ過激派グループがマサダ要塞を占領し、ここを最後の砦として立て籠もりました。

マサダ要塞西側
西側のスロープを探すも見つからず

西暦73年、ローマ軍がマサダを包囲。ローマ軍はマサダを陥落させるため、数ヶ月をかけて山の「西側」に、土砂を積み上げた高さ100メートルに及ぶ巨大な突撃用のスロープを建設しました。

破城槌によって城壁が突破され、籠城していた960名のユダヤ人(男性、女性、子供)は、ローマの奴隷となる屈辱を拒み、集団自決という壮絶な道を選びました。

マサダ要塞北東倉庫群
マサダ要塞の北東部、倉庫などがあった場所

彼らは食料が尽きて降伏したのではないことを示すため、あえて食料倉庫だけを燃やし残し、自らの意志で死を選んだのです。翌朝、ローマ兵が突入した時、そこには不気味な静寂と炎、そして遺体だけが残されていました。

頂上からの景色と、見つけられなかった「ローマ軍のスロープ」の謎

山頂の遺跡には、かつて人々が生きていたことをかろうじて示す建物の壁の跡が残っています。このような砂漠の絶壁の上で、何年もの間、水や食料を蓄えて籠城生活を送っていたとは、現地に立ってみてもにわかには信じられないほどの隔絶感です。

マサダ要塞から死海
写真中央に見えるのが死海

要塞からふもとを見下ろすと、東側には神秘的に輝く死海のブルーが見えます。しかし、周囲はどこを見渡しても木一本生えていない黄土色の世界。高さを比較するための対象物が周囲にないため、自分がどれほど高い場所にいるのか、感覚が掴みにくくなります。

静寂を破る戦闘機の轟音

北の空を眺めていると、不意に砂漠の山影からイスラエル軍の戦闘機が姿を現し、もの凄い轟音を響かせながら南へ飛び去っていきました。この地域は空軍の飛行ルートに近いのか、戦闘機が通過することがよくあるようです。古代の悲劇の戦場跡の上を、現代の最新鋭戦闘機が飛び去る光景は、歴史の連続性を感じさせる強烈な体験でした。

マサダ要塞北側
奥の岩陰から突然戦闘機が現れる

「蛇の道」を歩いて下山!

帰路は、徒歩専用ルートである「蛇の道(Snake Path)」を使って下山します。

【蛇の道(Snake Path)スペック】
□全長:約2キロメートル
□高低差:約350メートル
□階段数:約900段
□所要時間:下りは約30〜40分、登りは約45分〜1時間

マサダ要塞蛇の道
つづら折りの蛇の道

山頂から下を見下ろすと、登山道を小さな黒い点がチョコチョコと動いているのが見えました。よく見ると、それは登ってきたり、降りたりしている人間の姿。その豆粒のような人間たちのサイズと比較して初めて、ここはこんなに高い場所だったのかと、マサダの圧倒的な広さとスケール感を肌で理解することができました。

マサダ要塞頂上ロープウェイ乗り場
蛇の道の終点は頂上のロープウェイ乗り場

頭上を行き来するロープウェイのワイヤーを見上げながら、階段を降りていきます。

蛇の道はきつい?実際に歩いた感想

実際に降りてみた感覚としては、道は非常によく整備されており、登るのもそれほど難しくはなさそうでした。動きやすい靴を履いていれば、軽いトレッキング気分で挑戦できる難易度です。

マサダ要塞蛇の道
軽装備でも登れる

もし時間に余裕があり、体力に自信があるなら、ロープウェイを使わずに自分の力で登ってみるのも、この要塞の「難攻不落さ」を身体で体験できて素晴らしい思い出になるはずです。

まとめ:次なる目的地、死海リゾート「エン・ボケック」へ!

下山したあとは、最初にバスを降りた東側ビジターセンター前のバス停へと戻ります。ここから再び路線バス(486系統や384系統など)に乗車すれば、わずか15〜20分ほどで、死海屈指の高級ビーチリゾート地である「エン・ボケック」に行くことができます。

マサダ東側ビジターセンター前のバス停
奥に小さく見えるのがバス停

マサダ要塞でのトレッキングの後は、死海にぷかぷかと浮かんでミネラルたっぷりの泥パックでリフレッシュするのが黄金の王道ルート。

(※記事内の写真は2018年12月に私が実際に撮影したものを利用しています。)

投稿者 iryota_gram

大阪府出身の男、サラリーマン。 学生時代から旅を始め、旅歴は約20年。アジアを中心に歩き回っています。 保有資格:二級小型船舶免許、普通二輪免許、二級施工管理技士(建築)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です