エルサレム旧市街の入り組んだ路地で、「岩のドーム」への入口を探して歩き回っていた時に偶然見つけた、旧市街で最も美しいと言われる市場、スーク・アル=カッタニーン(Suq al-Qattanin / 綿商人の市場)を紹介します。
旧市街の西から東へ。岩のドームに隣接する「トンネル市場」への行き方
ヤッファゲート(門)から旧市街に入り、まっすぐ東へ。突き当たりの「アル=ワド通り(Al-Wad St)」を左に曲がってすぐの場所に、その市場の入口はあります。

ここは、岩のドーム(聖域)のすぐ西隣に位置する、全長約95メートルの壮大なトンネル状の市場です。一歩足を踏み入れると、アーチ状の天井が続く薄暗い中でも活気のある市場の光景が広がります。
人の行き来が多いのでトンネル内に入ってく行く怖さはありません。
14世紀の傑作建築:なぜ「暗闇の市場」と呼ばれるのか?
この市場は、1336年から1337年にかけて、マムルーク朝のシリア総督タンキズ・アン=ナースィリーによって建設されました。

ここは建築がとても特徴的。巨大なトンネル状の天井の頂部には小さな天窓(スカイライト)がたくさん設けられています。この窓から差し込む光の筋が、薄暗い市場の中にコントラストを生み出し、地元では「スーク・アル=アタム(暗闇の市場)」とも呼ばれています。
しかし、私が訪問した時は天窓が塞がれていたのか、光が入って来ず、店舗の照明でトンネル内が照らされていて、お昼なのに全体的にとても薄暗い市場でした。
活気あふれる現在の市場:衣類、雑貨、そしてシーシャの香り
かつてはエジプト産の高品質な綿花が取引され、世界中へ輸出される拠点だったこの場所も、現在は人々の生活に根ざした活気ある商店街となっています。

市場の両サイドには、現在は約50ほどの店舗がぎっしりと並んでいます。
お土産や日用品
伝統的なランプ、美しい刺繍の衣類、スパイス、子供向けのおもちゃといった観光客向けのお店。

地元のスイーツ
大量のお菓子を量り売りするお店。これを見ると地元の市場という感じ。

憩いの場
地元の男性たちが集まり、ゆったりとシーシャ(水タバコ)を嗜むカフェ。
現地の観光客かもしれませんが、とても地元感あふれるシーシャカフェでした。

観光客向けの華やかさと、エルサレムの人々の日常が混じり合った、独特の空気がここにはあります。
聖域へと続く「綿商人の門(バーブ・アル=カッタニーン)」
市場を奥(東)へ進むと、突き当たりに門が現れます。これが「バーブ・アル=カッタニーン(綿商人の門)」です。

この門は岩のドームが立つ聖域(ハラム・アッシャリーフ)に直結しており、門の装飾には赤・黒・白の石を交互に配置する「アブラク様式」や、鍾乳石のような「ムカルナス装飾」が施された、マムルーク建築の最高傑作の一つとのこと。
門の近くまで近寄ろうと思いましたが、休日のスークを一人奥まで行くと、何かトラブルに巻き込まれそうだったのでやめました。
【注意】
この門は通常、イスラム教徒(ムスリム)の方のみが通行可能です。
※出口としてのみ利用できる場合や、状況により閉鎖されていることもあります。
歴史の隠れスポット:二つの浴場と大学のセンター
市場の中には、単なる商店だけでなく歴史的な重要施設もあるらしい。
- ハーン・タンキズ
市場の中央にあるかつての宿泊施設。現在はアル=クドゥス大学の「エルサレム研究センター」として活用されています。 - ハマーム(公衆浴場)
「ハマーム・アル=アイン」と「ハマーム・アル=シファ」という二つの古い浴場があり、現在も文化遺産として保存・修復が進められています。
人通りの多い市場が開いている時には全くその存在には気が付きませんでした。
次回行く機会があれば確かめてみようと思います。
おわりに
旧エルサレム市街にはユダヤ教、キリスト教、アルメニア正教、そしてイスラム教の4つのエリアにそれぞれ分かれていますが、「綿商人の市場」はムスリムエリアの中で最も昔の街の様子をうかがえる場所の一つではないかと思います。
(※記事内の写真は2018年12月に私が実際に撮影したものを利用しています。)

