神出鬼没のストリートアーティスト、バンクシーの作品が最も密集していると思われるパレスチナのヨルダン川西岸地区のベツレヘム。
ベツレヘムの観光を午前に終え、午後からベツレヘム内に点在するバンクシーの作品を歩いて6作品(実質5作品)見てまわりました。

この記事では実際に見てきたバンクシー作品写真と、その場所をグーグルマップで紹介しているので、見に行かれる方の参考になればです。

「Love Is In The Air / Flower Thrower(愛は空中に / 花束を投げる男)」

パレスチナのバンクシー作品で最も有名な「花束を投げる男」。
この作品はベツレヘム内にある作品の中で最も中心地から遠い場所にあり、「花束を投げる男」はガソリンスタンドの建物の壁に描かれています。

パレスチナのバンクシー作品「花束を投げる男」

営業中なのかよくわからないガソリンスタンドです。写真左端の洗車機と屋根付きの建物の間を抜けていきます。頻繁に見学者がくるのか、黙って進んでいっても何も注意されませんでした。

パレスチナのバンクシー作品「花束を投げる男」のあるガソリンスタンド

ちょうど洗車機の裏側にある建物の壁にその彼はいました。
30分程この場所で見学をしていましたが、その間にも入れ替わり数組の観光客がやってきていました。
有名な作品なのに無料開放されていて、便乗してモノを売ってくる人もいません。

パレスチナのバンクシー作品「花束を投げる男」

「花束を投げる男」は占領するイスラエル軍に対して火炎瓶や投石で抵抗するパレスチナ人を描いたもの。投げるモノを花束にしている点が色々想像させられます。

花束を描いている事で平和を祈っているという説明が多いですが、個人的には超近代兵器のイスラエル軍に対して火炎瓶や石でしか抵抗できないパレスチナを皮肉っている様に感じられます。何を投げても一緒だと言っているようにしか見えません。

ベツレヘムの市街地から歩いて帰ってこれる限界あたりです。

「The Angel Sprinkling Hearts (ハートをこぼす天使)」

「花束を投げる男」へ向かう途中にある「ハートをこぼす天使」です。

パレスチナのバンクシー作品「ハートをこぼす天使」

幹線道路沿いにある設備屋さんのと隣の敷地との境界にある壁に描かれています。
設備屋さんとしては資材を積み重ねて置いておきたいのでしょうが、バンクシーの作品のためか資材を置かずに見学できるようにしてくれています。

パレスチナのバンクシー作品「ハートをこぼす天使」

ベツレヘムはキリストに所縁のあるキリスト教徒の街、金のハートには「親切・思いやり」という意味があるようで、この作品には抑圧されているパレスチナに対して天使からの思いやりを表現しているのでしょうか。

なにもない幹線道路沿いの場所にあるので、うっかりすると通り過ぎてしまいます。

「Armored Dove of Peace(狙われた鳩)」

パレスチナヘリテイジセンターの壁に描かれた「狙われた鳩」です。

パレスチナのバンクシー作品「狙われた鳩」

平和の象徴の鳩に防弾チョッキが着せられているだけでもショッキングですが、さらにその鳩が照準器に当てられ狙われているのです。この鳩がどこから狙われているかというと・・・

鳩が狙われてる監視塔

「狙われたハト」を背にしてみると見えるのが分離壁の監視塔です。あの監視塔から銃でこの鳩が狙われているのです。

パレスチナのバンクシー作品「狙われた鳩」

ここでいう鳩はパレスチナの事だと思われます。
西岸地区はガザとは違い四方をイスラエルに抑えられているので、武器を密輸しづらく素手でイスラエル軍と対峙している状態に近いです。鳩に防弾チョッキが着せられているのは、専守防衛で攻撃したくてもできない事を表しているのかもしれない。

ここは見つけやすい。

通称「分離壁をこじ開けようとする天使」

後で紹介する「世界一眺めの悪いホテル」から見える分離壁の近くに描かれた作品。

パレスチナのバンクシー作品「分離壁をこじ開けようとする天使」

2人の天使たちが分離壁をこじ開けようとしてくれています。
左はスカーフで顔を覆いバールを使っていて、右はニットの様な帽子を被り素手で開けようとしています。右の天使の被っているものが仮にキッパであれば、話はとても複雑になります。

バンクシーの作品に限らず興味深いアートがたくさん描かれているので、ついつい見過ごしてしまうかも。

「Girl Frisking Soldier(兵士のボディをチェックする少女)」

壁に手を付けた兵士に少女がボディチェックする作品があるらしい場所。

パレスチナのバンクシー作品「兵士のボディをチェックする少女」

このお店の中にその作品があるらしいのですが、行った時はお店がお休みの様で見る事ができませんでした。

店先に看板が立っているので間違いないと思うのですが。。。

「The Walled-Off Hotel(世界一眺めの悪いホテル)」

バンクシーが出資したホテルで、客室のどの部屋から目の前の分離壁が見える事から「世界一眺めの悪いホテル」と呼ばれています。

パレスチナのバンクシー作品「世界一眺めの悪いホテル」

ホテルの目の前にパレスチナ人の自由を奪っている分離壁が建っています。
ヨルダン川西岸地域を分離壁で囲い、パレスチナ人の行き来を制限し閉じ込めています。そして壁内においても入植地という形でユダヤ人を住まわせ、パレスチナ人の生活区域を狭めていっています。
イスラエルのしている事がユダヤ人が過去に受けた事と似たような事をしている事に気付いているのだろうか。

パレスチナのバンクシー作品「世界一眺めの悪いホテル」

ホテルの入口でドアマンが扉を開けてくれます。サルは偽物で人は本物。

パレスチナのバンクシー作品「世界一眺めの悪いホテル」

こちらのホテルは本当に宿泊が可能で、ホテルの一階にはレセプションや食事をするところなど、一般的なホテルの機能が備わってました。

パレスチナのバンクシー作品「世界一眺めの悪いホテル」のギャラリー

ホテルは三階建てで二階の一部がギャラリーとなっています。展示内容は一定ではなく、またバンクシーに限らず色々な企画で変わるような雰囲気でした。

これら6つのバンクシー作品を見て回り、その後ホテル北側にある分離壁のチェックポイント(ベツレヘム検問所)よりエルサレムへ戻りました。

投稿者 iryota_gram

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